書評 英英英単語 上級編 ~単語を使いこなす本、覚える本ではない~
TOEIC L&Rは850点を超え、次のステップとして900点超えは狙っているものの、TOEICに特化した勉強を少しづつ減らそうと思っています。そこで、英語の上級者向け単語集を検討した結果、こちらの本を購入しました。
この記事では、1ヶ月実際に使用してみた本書のレビューをします。
結論から言うと、本書は現在の筆者のレベル、目的にあいませんでした。ただ、悪書というわけではなく、むしろ良書、合う人には合うのだろうと思います。
この本を選んだ理由
以前、単語はミルフィーユ法で覚えるという記事を出しました。
この記事では、とにかく音声をくり返し聞くことで、単語と接触回数を増やすことで長期記憶として定着させる方法を書きました。
この方法で通勤などの空き時間、テキストが開けないときでも英単語の音声ファイルを聞きまくっています。そうやって聞いている時にふと、「英語の勉強をしているのに、日本語を聞いている時間が多いなぁ」と思いました。
他のリスニング教材では英語の文章をずっと聞いているので英語100%です。ところが、単語集は単語、日本語訳、例文のように日本語が入ってくるため、英語が100%ではありません。昔からずっと聞き続けていてすでに定着完了しているDUOは英語音声のみのファイルを使っているのですが、新しい単語を覚える時に英語100%だとなんのことやら、になります。
そこで、本屋で見つけたのがこの本です。この本は英英辞典のように英単語の意味を英語で説明してあります。そのため、単語、英語で説明した英語、例文のように英語100%になります。これを使うことで英語を聞く割合が増やせる!と思い購入しました。
本書の構成
この本の最初の単語のスクリーンショットです。先ほど説明したとおり、英単語、その意味を説明した英語、例文の順に構成されています。また、本書中には日本語の意味と例文の日本語訳もついています。音声ファイルはこちらの期待通り、単語、その意味を説明した英語、例文を1回ずつ読み上げる形式でした。
収録単語は1000単語=100単語x10セットです。単語レベルは公式サイトによると「9000語レベル、英検準1級~1級、国連英検A級、TOFEL iBT 80~」とのことです。公式サイトに記載はありませんでしたが、TOEICでいうと800~950点ぐらいでしょうか。ただ、TOEICに出ない単語もたくさんあるので、TOEIC学習には向きません(本書がその目的で作られていないので、当たり前ですが)。
音声ファイルは各単語ごとに1つのmp3ファイルが提供されています。100単語ごとの音声ファイルだと、完全なシャッフル再生にはならないので、完全シャッフルできる点がとても便利です。
筆者が学習した方法と感想
早速この本を上の記事に書いてあるように、音声で覚えようと早速聞き始めたのですが、問題に直面しました。単語の意味を説明した英語がすぐに理解できないのです。ここであわあわしているうちに例文が流れ、よくわからないうちに次の単語にいってしまいます。ミルフィーユ法で覚えるとはいえ、1回聞く時に何もわからないのであれば、何も積み上がりません。
そこで、本を読みながら1日100単語ずつ聞く方法に変えました。そうすると、意味はわかるのですが、隣の日本語訳に目が行ってしまい、結局単語の意味を説明した英語の理解に至らないまま次の単語にいってしまいます。
つまり、理想のサイクルは
- 単語を聞く
- 単語の意味を説明した英語を読み解きながら単語の意味を理解する
- 例文で使い方を学ぶ
のはずなのに、実際のサイクルは
- 単語を聞く
- 単語の日本語訳を見る。となりの説明部はほぼ読めない
- 例文を聞く
となってしまい、本書の折角の特長が活かせていません。
それでも何周かすればきっかけが掴めるかもと思い、3周してみたのですが、理想のサイクルになっている単語はまだ10個程度だと思います。つまり、学習時間に見合った成果が現時点では出せていません。
対処法を考える
どうすればいいか考えました。単語の意味を説明した英語を読み上げる時間以内に内容が理解できれば、理想のサイクルに入るのですが、そうなっていないのが問題です。解決法としては2つ考えられますが、単語を効率よく覚えるという目的から外れそうです。
- 事前に単語の意味を説明した英語を熟読する
しっかり読み込んだ上で聞き始めれば、たしかに理解度があがり、理想のサイクルに入りそうです。しかし、その準備に時間がかかりすぎるため、単語を覚えるという目的からは遠ざかるところが問題です。 - 単語集のレベルを落とす
説明の英語が簡単になれば、つまり上級編を一旦諦め、中級編にレベルダウンすれば理想のサイクルに入れそうです。しかし、英単語を覚えるという目的では効率が悪くなりそうです。
どういう人に向いているか
では、この本はダメかというとそんなことは全くありません。
英語は日本語訳ではなく、英語の説明で覚えたほうがニュアンスまで掴めそうですし、このコンセプトはすばらしいと思います。
ただ、この本は「新しい単語を覚えようとする本」ではなく「ある程度知っている単語を深める」のに役に立つのではないかと考えています。
つまり、筆者のレベルでは「上級編で新しい単語を覚える」のではなく、「中級編でだいたい知っている単語を英語の説明で再確認することで、より単語を理解し、読解の推測力や適切な単語の選択ができるようになる」を目標にして勉強するのには最適なのではないかと思います。
まとめ
英英英単語 上級編のレビューを行いました。
筆者のやり方では新しい単語を覚えるにはこの本は不向きで、覚えている単語を深く理解することに向いている本だと思います。
筆者はもう少しレベルが上がるまで、一旦置いておいて、別の単語集を探そうと思います。次に使う時は、理想のサイクルで回せるぐらい英語力が上げられていればと思います。では。
編集後記
筆者は貧乏性なので、一度買った本を途中で諦めることができないのですが、この記事を書くことで、今この本を使うレベルに到達していないことがしっかり可視化できたので、やめる踏ん切りをつけることができました。さて、本屋で新しい本を探してくるか。